いえづくり教習所番外編①
本日の講習を終え、駐車場へ向かうため信号を待っていると、とっしーがこんな事を言った。
「みんなに見せたいものがあるんだ。」
まぁ実際には、こんなドラマ風ではなかったが、すごく景色の良いところがあるから案内したいと、誘ってくれた。高知在住のとっしーは、口調も行動も優しい。
8人で向かった先は「空と海の展望公園」だ。
四国八十八ヶ所の第二十七番札所である「神峯寺(こうのみねじ)を少し登ったところにあるらしい。
とっしーの普通車に先導され、軽四2台が後を追う。道幅もさほど狭くなく、軽でもまぁ問題なく登れる勾配だ。
斜面の田んぼやビニールハウスを脇目に坂道は続く。
続く、つづく。。
斜面も急になって来た。ワゴンRが唸りはじめる。坂道はまだ続く。
グネグネ曲がりながら、急勾配が立て続けに襲って来る。2人しか乗っていないワゴンRが悲鳴を上げている。
長い坂に差し掛かる。ベタ踏みでもほとんど進まない。。
と、前を見ると、3人を乗せたケイ君の軽四が進まなくなっている。
限界なのか。。
バックして下っていくケイ君の車を追い越し、「あとで迎えに来るから。」と前を行くとっしーの車を目指す。
道路のほぼ真ん中あたりのアスファルトの割れ目から草が生えている。
メンテナンスはおろか、普段車は通っていないのか?
しばらくワゴンRの泣き声を聞いたあと、ようやく神峯寺が見えて来た。ふとバックミラーを見ると、ケイ君が追い付いて来ている。
よしみんな揃って、もうひと踏ん張り。
境内を左手に、やや細くなった坂を駆け上がる。まぁ正確に言うと、駆けるほどのスピードは出ていないが。
もう少し、もう少し。
そう自分と愛車に言い聞かせながら峠を攻めていると、一旦下った。こんなところに茶畑がある。
アスファルトが終了し、土の道をひた進む。途中の泥にハマらないかやや心配しながら、前だけを見る。ここでスタックしたら、JAFにも見放されるだろう。
しばらく轍を進むと、「空と海の展望公園」の看板が見えた。もちろん駐車場などない。やや広くなったところに3台停めて、ここからは歩く。
ほんの1分ほど歩くと、展望台が現れた。
思ってたよりも高い。
人間のちからは底知れない。
螺旋階段を登り、てっぺんへ。
途中、雷鳴が聞こえた。避雷針などない。
この塔が避雷針だ。
みんな、やや足ばやになる。
最上階についた。
「すごーい!」
みんな声を揃えた。
これはすごい景色だ。晴れていたら、水平線が丸く見えるくらいの絶景らしい。
結構な高さである。下で待つエリさんが点に見える。
インカメもしてみたのだが、今思えばスマホを落としていたら木っ端微塵だっだろう。
双眼鏡も設置してあった。
「あっ、あれ、中さん!」とケイ君。
「それは見えへんで〜」とみんなでツッコミを入れる。
ここの双眼鏡は無料だ。
それはそうやろう。回収するのに手間がかかり過ぎる。
イスもこのありさまだ。
元々、軽量化されてたんか、と思うほど穴が開いていた。
みんな2階ほど降りたか、というところで、上から
「ヤッホーーー」
と大声が!
普段そこまでガンガン喋るタイプじゃない今井ちゃんが、最後に笑かしてくれた。
もちろん水は出ない。
用を足し終え、車へ向かう途中、ケイ君が、
「あれっ!?無い!」
とポケットをまさぐっている。
車のカギが無い!!
車に付けっ放しかも、と車まで戻るがカギは見当たらない。
雲行きが怪しくなってきたのは空だけではないのか?
みんなで登った道をもう一度歩く。
砂利道を探す、探す。。
「あった!!!」
ケイ君自らがカギを見つけた。
全員が安堵に包まれ、帰路についた。
僕らを連れて行ってくれたとっしーには感謝である。
ありがとう!